OB/OGの皆様からの寄稿

2013/5/6 松田謹一様 「経営者 <師・参謀・司令官・忠臣>」

企業が成長するか、はたまた衰退・消滅するか、それは経営トップ次第です。経営トップの力は絶対的です。重要事項を決済する取締役会の議長を掌り人事権を掌握しています。優れた経営トップは社員の士気を上げ業績を拡大、相応しくない経営トップは前年踏襲、士気と業績は低落。優れた経営トップも長くその座に留まることで必ず相応しくない経営トップに変質します。絶対権力は絶対腐敗する、法則は生きています。
経営トップになるケースは以下のようなものが考えられます。
1.起業する。アメリカでは大卒の最優秀の人は起業を考えるそうですね。日本では定年退職してから起業する人が増えています。起業のチャンスは増えています。2.会社に入り出世して経営トップに上り詰める。3.会社に入って子会社の経営トップになる。4.経営トップとして他社から引き抜かれる。
どの組織に於いてもトップとNo.2との間には大きな差異が有ります。No.2の時には自由に経営を語り施策を提案、会社を実質的に動かしているつもりが、No.1の経営トップになって、それまでと異なる最終責任者としての大変さを実感する。経営トップの判断に社員の生活がかかっている。社員、顧客、資本家等を考えると、No.2時代のように軽々に意見を述べて実行することが出来なくなります。じっくりとあらゆる問題点や可能性を検討し、そして最終決断をしたら社員に理解をさせて徹底的にやり抜く事が必要。経営トップというのは孤独な面が有るなと感じるはずです。問題が起こった時に率直に意見を具申してくる社員が極めて少なくなっていることに気づきます。
経営トップには中国古来の帝王学において必要と指摘されている師・参謀・司令官・忠臣が必要だ、という事を実感します。この4要素を備えていない経営トップは必ずと言っていいほど失敗します。部下の運命を握っている経営トップに対して部下が方針と異なる意見を述べることは大変な勇気が必要です。従って4要素を持たない経営トップの下には上司の指示待ち、上司に逆らわない平目のような社員が続々と出来上がり、結果社内が見えなくなります。このような時こそ師となる人が必要となります。考え方、方針の決定や重要場面における師の存在は大きなものが有ります。
また、自分の下した決定は常に適切とは言えません。時に方向転換が必要な場合があります。このような時に直言し諫めてくれる忠臣を持っている事はとても有難いことです。企業に於いては正論を掲げ鋭く問題点を指摘、改革案を提案する忠臣は、その人格、才能に比して活躍の場を与えられることは少ない。従って提案の挫折と年を重ねるごとに忠臣は減少していくものです。忠臣を抜擢する器量の有る経営トップは大変に優れたているばかりでなく、まちがいなく企業を発展させることが出来ます。忠臣は上からは煙たがられ下からは大きな信頼が有り評価されているものです。忠臣を抜擢することで建設的な意見が多くなり、起業の風通しが良くなり企業は活性化して常に革新的な企業体質になるからです。
また、自分の足らない部分を補足してくれる参謀が必要です。優れた経営トップであっても全能ではありません。秀吉に竹中・黒田、家康に本多、三国志の孔明のように優れた参謀がトップを輝かしい存在に押し上げます。 参謀は、広く内外に情報ネットを張り、現場主義に徹し正しい情報を幅広く集め、そしてそれを多角的に分析し具象を抽象化し物事の本質を見極め、そして最適の施策を検討しトップに提案する能力が必要です。幅広い人的ネットワークの基本の一つに大学の友人がいます。早稲田はこの点に関して慶応や一橋に著しく劣っています。
慶応や一橋の人的ネットワークシステムを研究して良いところは導入しましょう。
そして司令官です。司令官は2タイプあります。トップが太陽の役割に人ならば、北風の役割を担うタイプが一つ。納得性の高い北風を目指すべきで、単に厳しく冷たい感じを与えるのであれば、北風を通じて太陽までもが寒々としてしまい、北風が切られるか、太陽が沈む結果を招きます。もう一タイプはあの人の為だったら死んでも良いと思わせるほどの人格者。経営トップは嫉妬を覚えるほどですが、そのような人を使いこなしている更に優れた人との評価を得られるはずです。経営トップにとって最も大切なことは後継者を育てる事。候補者を選抜したら、課題を与えてその対応を見極めて最終判断をする事が大切です。
就職時、株式購入時には、経営トップに師・参謀・司令官・忠臣がいるかを見極めることが大切です。

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